【高配当株投資】IR BANKの使い方!初心者向けに銘柄分析の指標を解説!

【高配当株投資】IR BANKの使い方!初心者向けに銘柄分析の指標を解説!

日本の高配当株投資をするには個別の企業分析が最も重要。そして、長期間の企業業績が検索できる有名なWEBサイトがIR BANK(アイアールバンク)です。優良企業の判別には様々な指標(売上高、営業利益、ROEなどなど)を分析する必要がありますが、聞いたことのない言葉も多く初心者さんにとっては大きなハードルです。

  • 指標の意味がわからない!
  • たくさんあるけど大事なのはどれ?
  • 優良な高配当株の基準は?

そんな高配当株投資初心者さん向けに、IR BANKの見方・使い方を徹底解説します!

簡単な言葉や例えを用いてわかりやすく用語解説しつつ、高配当株投資に必要な指標の選別や優良株の基準などを紹介します!

もぐまる
もぐまる

あくまで高配当株投資の初心者さん向けです。完全に正確な表現ではない部分もありますのでご了承ください。

高配当株投資におけるIR BANKの使い方

IR BANKでは様々な企業業績を確認できますが、高配当株投資において特に重要な指標や項目があります。必要以上に多くの項目を比較していては投資できる合格銘柄には出会えません(完璧な企業なんてほぼ存在しません)。ここだけは外せないポイントを押さえて80点の銘柄をたくさんリストアップしていくのが重要です。

分散投資のためには妥協も必要
安定した高配当株ポートフォリオでは80銘柄程度への分散投資が推奨。完璧に条件を満たす企業は稀であり妥協も必要。効率良くたくさんの企業を分析していくのがおすすめ。

高配当株の重要指標10選

  1. 売上高(うりあげだか)
  2. 営業利益(えいぎょうりえき)
  3. EPS(いー ぴー えす)
  4. 営業利益率(えいぎょうりえきりつ)
  5. ROE(あーる おー いー)
  6. 自己資本比率(じこしほんひりつ)
  7. CF(キャッシュフロー)
  8. 一株配当(ひとかぶはいとう)
  9. 配当性向(はいとうせいこう)
  10. 配当利回り(はいとうりまわり)

優良高配当株の見極めに必須の10項目です。これが全てではありませんが、高配当株投資初心者さんはまずこの10項目を押さえておけば80点銘柄を判別できます。実際にIR BANKの情報を見ながら各項目の意味と優良株の基準を説明します。

添付のデータは私のおすすめポートフォリオの30銘柄にも採用しているライト工業の業績を参照しています。

重要項目①
売上高(うりあげだか)

売上高とは、一定期間(1ヶ月・四半期・半年など)の中で企業が商品やサービスを販売して得た収入です(1年間の売上高=年商)。サラリーマンで例えるなら給与による年収に該当。利息や配当金といった営業外収益は含まず、あくまでも本来の事業活動で得た収入です。※売上高を営業収益と記載している場合あり

この売上高から様々な経費や税金を引いたものが最終的な「利益」となります。売上高は全ての原資であり超重要ですが、売上高が高い=儲かっている、ではないので注意。2000万円で仕入れた商品を1年間で1000万円分売れば売上高(年商)は1000万円ですが、利益はなく1000万円の赤字です。企業の利益、そして配当金のおおもとは売上高であり、常に黒字かつ増加傾向が望ましいです

売上高と利益の関係 出典:https://www.yayoi-kk.co.jp/kaikei/oyakudachi/net-sales/

売上高から仕入れ費用や人件費、広告宣伝費、税金などが引かれて最終的な利益が計算されます。

売上高における優良高配当株の基準
・10年以上の長期間で見て右肩上がり傾向
・不況時でも下げ幅が少ない
・横ばい〜微増までは許容範囲

売上高の安定成長は、長期経営と配当金の維持に必須です。10年以上の長期間で増加傾向にあることを大前提に、成熟企業であれば横ばい維持も許容範囲とします。

 

重要項目②
営業利益(えいぎょうりえき)

営業利益とは、企業が本業で稼いだ利益です。本業とは主な営業活動のことで、飲食店であれば商品として提供する飲食物を売って稼いだ利益が「営業利益」に該当。保有している株式からの配当金や、不要品を売却して得た利益などは含みません。

 営業利益は、売上高から売上原価(仕入れ費用、原材料費など)と販売管理費(人件費、広告費、家賃、光熱費など)を引いた部分を指します。いくら売上高があっても仕入や販売コストが高くては利益が出ません。営業利益が大きいことは経営効率の良さや企業体力にも繋がります。

営業利益の立ち位置 出典:https://www.yayoi-kk.co.jp/kaikei/oyakudachi/operating-income/
営業利益における優良高配当株の基準
・10年以上の長期間で見て右肩上がり傾向
・不況時でも下げ幅が少ない
・横ばい〜微増までは許容範囲

売上高と同様、長期に安定した右肩上がりが理想です。原材料費の高騰や人件費の変動(賃上げ・リストラ)等にも影響を受けるため、売上高と連動しない場合もあります。社会情勢や経営方針なども踏まえて、持続的な経営ができそうか判断する必要があります。

重要項目③
EPS(いー ぴー えす)

EPSとは「Earnings Per Share」の略で、日本語では「1株当たり純利益」とも呼ばれます。1株当たりの利益を示しており、簡易的には「当期純利益÷発行済株式数」の計算式で求めます。

当期純利益の立ち位置 出典:https://www.yayoi-kk.co.jp/kaikei/oyakudachi/net-income/

当期純利益とは、1年間の収益から税金を含むすべての費用を差し引いた最終的な利益です。発行済み株式数で割ることで、その会社が「1株でどれだけ利益を生み出しているか」つまり「業績と直結した株の価値」がわかります。EPSは配当金の原資であり、株価とも密接な関係があるので重要です。

EPSにおける優良高配当株の基準
・10年以上の長期間で見て右肩上がり傾向
・不況時でも下げ幅が少ない
・横ばい〜微増までは許容範囲

こちらも長期的に右肩上がりが理想。売上高や営業利益よりも変動幅は大きいため、綺麗な右肩上がりになりにくいことは許容します。EPSは利益に連動して上下しますが、発行株式数にも依存します。「自社株買い」が行われると発行株式数が減るため、利益が少なくてもEPSが上がる(基本的には歓迎)場合もあるので注意しましょう。

重要項目④
営業利益率(えいぎょうりえきりつ)

営業利益率は売上高に対する営業利益の割合を示し、企業の収益性がわかります。「稼ぐ力」が強い企業は成長性や配当持続性があるため高水準の営業利益率が求められます。収益力が高いだけでなくコスト管理も良好であれば営業利益率は高くなります。

営業利益率における優良高配当株の基準
・最低でも5%程度は欲しい(妥協ライン)
・10%以上あれば超優良水準
・15%以上の時は油断せず精査

営業利益率の目安

  • 【0%以下】
    経営が赤字となっているので投資不適格
  • 【0〜5%】
    実はこれで平均レベル。2021年「企業活動基本調査 」では、主要産業の平均値は3.2%。
  • 【5〜10%】
    優良水準。改善に向けたコストカットの方針や企業目標もチェック。
  • 【10〜15%】
    超優良水準。業界トップシェアや効率よく利益を生むビジネスモデルを持つ優良企業。
  • 【15%以上】
    利益追求による業務負担や人件費削減で顧客サポート不足などの側面がないか要注意!

10%以上に向けた右肩上がりの成長と高水準の維持が理想的。現時点で3〜5%であったとしても、高水準の目標や企業努力を宣言して着実に成長していれば投資する価値あり。すでに高水準にある優良企業と今後に期待できる成長企業に分散していくのがおすすめです。

一方で、必ずしも高ければ高いほど良いとは限らないので注意。極端な利益追求姿勢や過度なコストカットによるサービスの質低下など、数字には現れない問題を抱えているリスクもあります。あくまで複合的な評価指標の一つとして慎重に見ていきましょう。

重要項目⑤
ROE(あーる おー いー)

ROE(あーる おー いー)とは「Return On Equity」の略で、日本語では「自己資本利益率」とも呼ばれます。私たち株主が出資したお金を元手にして「どれぐらい効率良くお金を稼いでいるか」を示す指標で、以下の式で計算します。

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

※当期純利益
→1年間の収益から税金など全ての費用を引いた最終利益
※自己資本
→株主からの出資金など「返済する必要のない資産」

例えば、株主から集めた1億円を元手に1年間で最終的に1,000万円の利益を上げたなら、ROEは1,000万円÷1億円×100%=10%となります。

ROEにおける優良高配当株の基準
・8%で及第点、10%以上で優良
・5〜8%程度を妥協ラインとする
・企業目標や改善傾向にあるかを確認

ROEが高いほど資本をうまく使って効率良く稼いでいる企業、ROEが低ければ経営効率の悪い企業だと評価できます。私たちの大事なお金をしっかり利益に繋げてくれる企業には投資する価値があります。ただし、業種によって平均値は異なるため、やはりあくまで複合的な評価指標の一つとして見ましょう。
ROEの業種別中央値ザイマニより)

ROEの注意点

ROEの計算には企業の借金は含まれません。総資産も当期純利益も同じ企業のROEを比較する場合、総資産における借金の割合が大きいほど効率良く利益を上げたように見えてしまいます。

  • A社:総資産10億円(負債8億円、自己資本2億円)、当期純利益5,000万円
    ROEは5,000万円÷2億円×100%=25%
  • B社:総資産10億円(負債2億円、自己資本8億円)、当期純利益5,000万円
    ROEは5,000万円÷8億円×100%=6.25%

借金の多いA社より、負債が少なく健全な経営をしているはずのB社の方がROEが低くなります。借金を利用して利益を上げる(財務レバレッジをかける)ことでROEを上げることはできますがハイリスクな経営といえます。ROEだけをみるのではなく、次項で説明する【自己資本比率】も高い企業を評価します。

重要項目⑥
自己資本比率(じこしほんひりつ)

自己資本とは、企業の総資産のうち「返済が不要な資金」です。私たち株主が出資した資本金や、事業利益を積み立てた利益剰余金(内部留保)などが自己資本にあたります。一方、自己資本の対となるのが他人資本で、「返済義務のある負債」です。銀行からの借入金などが該当します。

事業に使用できる全ての資金を「総資本」と呼び、自己資本+他人資本で成り立ちます。自己資本比率は、総資本のうち自己資本が占める割合です。自己資本が多ければ返済不要の資金で安定した経営ができますが、他人資本=借金が多ければ安全性が低くなります。自己資本比率が高ければ中長期的に見て倒産しにくいと言えます。

自己資本比率における優良高配当株の基準
・40%以上は欲しい
・60%あれば(維持していれば)安心
・業種によっては低くても正常な場合がある

一般的に自己資本比率は高いほど良いとされます。高配当株投資においては長期保有が前提であり、倒産しない安定経営は超重要です。ひとまず50〜60%あれば安心できます。一方で、高すぎても適切ではない(溜め込み過ぎて事業投資が足りない)と判断されることも。目安とすべき自己資本比率は業種によっても異なり、状況に応じて分析していきましょう。
業界別・自己資本比率の目安

自己資本比率の低い業種例

銀行業(5%前後でも正常)
預金(他人資本)で成り立つ事業。最低ラインは維持する規制あり。

不動産業(20〜30%台でも正常)
高額の不動産取得には融資を受ける(借金する)必要あり。

重要項目⑦
CF(キャッシュフロー)

4種のCF 大まかな意味合いと目安
営業CF:収入ー支出で残ったお金 プラスならOK
投資CF:設備投資や資産売却のお金 マイナスでOK
財務CF:借金や借金返済のお金 マイナスでOK
フリーCF:自由に使えるお金 プラスならOK

営業キャッシュフロー

営業CFは最もわかりやすく収入ー支出の差額です。プラスなら黒字、マイナスなら赤字。投資対象として黒字経営は大前提です。しっかり貯蓄しながら事業投資や配当金の支払いができる能力は必須で、長期的に黒字であることが理想です。

私たちの生活に置き換えると、手取り年収が400万円で年間支出300万円なら営業キャッシュフローは100万円の黒字となります。家計管理がしっかりできて初めて投資や起業ができるという意味では家庭も会社も同じで、営業CFの改善は大事です。

投資キャッシュフロー

投資CFは事業投資・設備投資・株式投資など、未来の収益につながる先行投資に使用したお金の出入りです。成長のために積極的に事業投資をしている企業は投資CFがマイナスになり、好意的に評価します。逆にプラスの場合は事業投資を控えて資産を売却しているような状況で、経営不振や運転資金不足の懸念があります。

私たちの生活に置き換えると、収支がプラスの分で株式投資をしたということですね。投資した分のキャッシュ(現金)は減るので投資CFはマイナスです。でも未来の配当金や株価上昇のための先行投資であり好ましい状況といえます。

財務キャッシュフロー

財務CFはわかりやすく言えば、借金をしたのか返済したのか、ということ。借金をした場合、手元の現金は増えるので財務CFとしてはプラス。借金返済の場合は、手元の現金を使っているのでマイナスです。一般的には借金は早く返済したほうが良いので財務CFがマイナスであれば経営状況は健全といえます。一方で、大規模な設備投資や不動産投資などには借金が必要で、経営上は必ずしもどちらが良いというものではありません。

私たちの生活に置き換えると、住宅ローンの返済などが該当します。高額な家を買うには借金が必要なので、購入時の財務CFは大きくプラス(一時的であれば悲観することでもない)。その後、着実にローンを返済していれば家計の財務CFはマイナス(順調に借金を返済中)ということになります。

フリーキャッシュフロー

フリーCFは企業が自由に使えるお金で、営業CFと投資CFの合計になります。稼いだお金から投資資金を引いた手残りのお金です。1000万円の利益(営業CFプラス1000万円)から500万円の事業投資(投資CFマイナス500万円)をした残りが500万円のフリーCFです。ここから更なる事業投資をしたり、借金返済に回したり、配当金を出したりと自由な企業運営に使用できます。

高配当株投資の対象としては、配当金の元手となるフリーCFは常にプラスが理想です。ただし、大規模な事業投資をした年は一時的にマイナスになることもあり、企業活動をしっかり分析する必要があります。

私たちの生活に置き換えると、完全な余剰金に該当します。収入から支出を引いた資金(営業CFプラス)から積立投資した(投資CFマイナス)後の残金がフリーCF。これを貯蓄・ローン返済・高配当株投資・浪費など自由に使うことができます。

重要項目⑧
一株配当(ひとかぶはいとう)

一株配当とは、一株あたりいくらの配当金がもらえるかを示します。グラフの数値は年間配当金であり、実際には中間配当・期末配当として分割して支払われる場合もあります。1株保有していれば年間61円、100株保有なら年間6100円の配当金がもらえます。

一株配当における優良高配当株の基準
・長期的に減配していない
・長期的に増配傾向
・増配率が安定して高い(年率5%あれば優良)

一株配当のグラフで重要なのは、「長期的に」「減配せず」「増配傾向」で、「増配率が安定して高い」こと一株配当の金額自体は優良さとは直結しないので注意(株価との関係が重要。項目⑩の配当利回りを参照)。高配当株投資では、株を保有し続けて永久に配当金をもらい続けることを目指します。つまり、長期間配当金を安定して出し続ける、なんなら増やし続ける企業に投資したいですね。

不況時でも減配せず、調子が良ければどんどん配当金を増やして維持してくれる。そんな優良高配当株を探します。連続非減配や連続増配も魅力的ですが、無理して配当金を出しているのでは長続きしません。売り上げやキャッシュフローの状況なども踏まえて、しっかり配当金を出せる企業を選定します。

配当金にかかる複利効果!!
増配率を意識せよ!

複利効果とは、元本+利益にさらに利益率を掛け合わせて雪だるま式に資産が拡大するというもの。インデックス投資では年利○%で複利運用すると20年後には何倍に・・・と説明される。

配当金における利益率=増配率。例えば、ライト工業の5年平均増配率は約10%。この増配率を10年維持し続けると、年間61円の配当金が10年後は165円(2.7倍)になる。

高い増配率は高配当につながりますが注意点も。一時的な好業績で極端な増配をすると、その後通常の業績に戻った時に配当金の維持が難しくなります。1年でいきなり2倍とかではなく、安定的・長期的に5〜10%程度の増配率を維持している企業を高評価します。

重要項目⑨
配当性向(はいとうせいこう)

配当性向とは、利益の何%を配当金に回しているかの割合で、EPS × 配当性向(%)= 一株配当。2023年のライト工業でいえば、190.58円(EPS)× 32%(配当性向) ≒ 61円(一株配当)となります。

配当性向における優良高配当株の基準
・配当性向30〜50%くらいが健全
・60〜100%以上が続くのはNG

配当性向は企業の配当方針として「配当性向〇〇%を目安に配当金を出します」と定めていることが多いです。配当性向(%)が固定であれば、利益(EPS)の向上とともに増配します。あくまで目安であり、業績が悪ければ配当金を維持するために一時的に配当性向を引き上げることも。何年も60%以上が続くなら業績改善が進んでいない証拠となり投資不適格に。

例)ライト工業の株主還元方針
中期経営計画(2022〜2024年)より)
長期的観点のもと安定的かつ継続的に配当を維持する基本方針は継続いたしますが、「当社株主帰属当期純利
益」の拡大に応じてその成果を株主の皆様と共有すべく、中期経営計画期間中に段階的に配当性向を高め、最終
年度である2024年度に35%以上を目指します

この方針に従えば、2024年はEPS予想195円 × 35% ≒ 68円への増配(増配率11%)見込み!
中期経営計画には今後数年間の配当方針が示されるため必ずチェック(企業名 中期経営計画 でGoogle検索)

減配しません!「累進配当」に注目!

配当金は利益×配当性向で上下するものですが、「私たちは減配しません!」と宣言している企業もあります。「累進(るいしん)配当」方針を掲げている場合、業績が悪くても基本的に減配しません。無理して経営が傾いては元も子もありませんが、受け取る配当金が計算できるため投資しやすくなります。

重要項目⑩
配当利回り(はいとうりまわり)

配当利回りとは、いかに少ない投資額で効率よく配当金が得られるかの指標。配当利回りは以下の式で示され、1株あたりの年間配当金と現在株価で決まります。一般的には税引き後の配当利回りが3.0%以上の株を高配当株と呼びます(※税引き後の考え方は後述します

配当利回り(%)
1株あたり年間配当金 ÷ 株価✖️100

一株配当と株価で決まるため、配当金額が低くても株価が安ければ高配当利回りになります。逆に、一株配当が高くても株価が高ければ配当利回りは低くなります。

例えば、
年間配当20円、現在株価400円のA株
配当利回りは?
20÷400×100=配当利回り5.0%

年間配当40円、現在株価2000円のB株
配当利回りは?
40÷2000×100=配当利回り2.0%

単純に「配当金が多い」のではなく「株価に対しての配当金が多い」=配当利回りが高いのが高配当株。A株の一株配当は20円と少なくても、株価が安い=配当利回りが高いため高配当株に該当。

【A株・B株それぞれ1万円分購入する場合】
・A株(1株400円)を25株購入すると、
配当金は20円×25株で500円
・B株(1株2000円)を5株購入すると、
配当金は40円×5株で200円
→A株が配当利回りの高い高配当株!

配当金の税金に注意!

日本株の配当金には約20%(外国株の場合さらに外国税+10%)の税金がかかります。高配当株の基準である配当利回り3.0%とは税引後の数値で、税引き前なら3.75%。証券会社やIR BANKの配当利回りは税引き前の表示のため、×0.8で税引後に変換して考えます。

例えばA株を1万円購入で配当金は500円ですが、20%(100円)の税金がかかり、実際に受け取れるのは400円。税引後の配当利回りは4.0%となります。

配当利回りはあくまで目安

高配当株投資をする上で配当利回りは高いほど良いと思われがちですが、あくまで目安です。

指標の優先順位の付け方
①好業績(重要項目①〜⑤)
②好財務(重要項目⑥⑦)
③好配当(重要項目⑧⑨)
④高配当利回り

良好な業績・良好な財務状況・良好な配当方針の3つの好がそろう優良企業であることを前提に、高い配当利回りのタイミングで買うのが高配当株投資です。

優先順位の付け方を間違えると、業績はボロボロで借金だらけなのに配当金だけ出している見せかけの罠銘柄に投資してしまいます。

増配を加味した未来の配当利回りを試算
今ではなく数年後を見越した配当利回りの基準を設定して優良銘柄の幅を広げよう!

業績は右肩上がりで財務良好、連続増配の優良企業を見つけた!でも今は配当利回りが低くて買えない・・・あるあるですね。そういう時は、過去の平均利回りと増配率をベースに未来の配当利回りを想定した基準を作ります。

ライト工業で言えば、過去5年平均の配当利回りは税引き前3.0%程度。余程の株価暴落がないと高配当株の基準3.75%には届きません。一方で過去5年平均の増配率は10%です。つまり、配当利回り3.0%で買ったとしても、3年間平均10%増配していけば配当利回りは3.9%に高配当化していきます。

もちろん未来はわからず皮算用ではありますが、過去の実績や業績予想を加味して検討すれば、業績がイマイチで「今」高配当利回りの企業より、業績がピカピカの「まだ」低配当利回りの企業の方が長期的に安定した配当金をもたらしてくれます。

よくある勘違い!?
購入後の配当利回りは株価と連動しない!

株価が上がると配当利回りが下がる。これは事実で、今まさに売買されている株の配当利回り(時価利回り)は、一株配当÷現在株価で算出。一方、保有株の配当利回りは、一株配当÷購入時の株価(平均取得単価)で計算(簿価利回り)。

購入後にいくら株価が上がろうが保有株の配当利回りは変わらず、その後の増減配にのみ依存する。つまり、増配していく銘柄を割安なタイミングで購入して長期保有するのが正解!

目先の利益に惑わされるな!
長期目線の分析が重要

ついつい配当利回りランキングや大幅増配銘柄に釣られがちですが、真の高配当株は影を潜めているものです。1,000以上の企業分析を重ねた経験上好業績の優良配当企業は配当利回り2〜4%台に密集しています。つまり、配当利回りランキングを上から見ても優良高配当株には出会えません。

目先の利益に釣られずに、長期で安定した配当金を出せる優良企業を探します。今回あげた重要10項目をある程度満たす企業であれば80点は取れます。IRBANKを駆使してコツコツ分析し、金の卵を産むニワトリ候補をどんどんリストアップしましょう。そして虎視眈々と買い時を探る。まさに高配当株投資の楽しさ・醍醐味ですね!

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