高配当株投資で特に難しいと言われるのが「投資タイミング」です。もちろん株価は読めませんが、少なくとも割高ではないタイミングで投資していかなければ含み損を抱えてしまうリスクがあります。
✅できるだけ安く買いたいけど判断できない!
✅なんとなく株価が下がってきたから買ってみた!
✅YouTubeにおすすめ銘柄がアップされた!よし買おう!
始めたてだとこういう方も多いのでは?
割安さの指標として有名なのがPER(ピーイーアール)とPBR(ピービーアール)です。投資タイミングとしては、配当利回りが過去平均より高ければ買っても良さそうなのはイメージがつきやすいのですが、
・PER?PBR?聞いたことはあるけど・・・
・実際のところどういう意味なんだろう?
・結局どうなってれば割安なの?
こんな疑問を解決していきます!
PER(株価収益率)とは?
PER(Price Earnings Ratio)とは日本語では「株価収益率」と呼ばれ、株価がEPS(一株あたり当期純利益)の「何倍か」を表した指標です。一般的に「企業の収益」から見た株価の割高・割安の判断に用います。日本株においてはざっくり15倍くらいが平均で、それ以下なら割安と判断します。業種によっても平均PERはまちまちなのであくまで目安です。
規模別・業種別PER・PBR(日本取引所グループ)こちらも参考に。
- 株価とPERの関係式
- 株価(円)= EPS(円) × PER(倍)
株価はEPS(一株あたり当期純利益)のPER倍になっています。
で?どういうこと?となりますね😅
よくある説明に、PERは株価が現在の利益水準の何年分に相当するかを表し「株式購入資金を何年で回収できるか」の基準と解釈できる、とあります。
???
例えば、PERが10倍(株価1000円・EPS100円)のA社の株を1株購入し、この企業は今と同じ利益水準を10年間維持し続けると仮定します。すると、この企業は購入した株価(1000円)と同額の利益を10年間で稼ぐ(EPS100円×10年(PER))計算になります。PERが低ければ投資した資金を企業の利益として回収するのに時間がかからないので割安だと判断します。
なんかよくわからない・・・
よりわかりやすいイメージに変換すると、PERは企業に対する「期待値」と捉えられます。企業の価値である株価は、実際の利益(EPS)× 期待値(PER)で成り立つということです。
期待値が高い=これからの高成長企業であることが多く、まだ利益(EPS)が少なくても期待(PER)だけで株価が高くなっている場合も多いですね。
例えば、X(旧Twitter)を買収したことでも有名な実業家イーロンマスクが率いるハイテク自動車メーカーのTSLA(テスラ)ですが、EPSは3ドルそこそこにも関わらず株価は250ドルを超えています(2023年12月時点)。PERはなんと80倍以上!今後急成長を遂げるであろうEV事業やイーロンマスク自身への「期待」がこめられて株価が上がっていると考えることもできます。
逆に、時価総額世界一の企業APPL(アップル)。安定した利益成長を続けてきたため、EPSは6ドル台、株価は200ドル目前です(2023年12月)。PERは約32倍。今後への期待もありつつ、実績のあるEPSをもとにした株価となっています。
株価は利益(EPS)の成長とともに上昇するのは当然ながら、期待値(PER)の高さでも大きく変動します。PERが高いということは、ある種「幻の株価」がついているということで、本来の企業価値からみたら「割高だ」と判断できます。
PBR(株価純資産倍率)とは?
PBR(Price Book-value Ratio)とは、日本語では「株価純資産倍率」と呼ばれ、株価が1株当たり純資産(BPS)の「何倍か」を表した指標です。企業の株価がその純資産に対して適切であるかがわかり、株価の割高・割安の判断に用います。PBRは大雑把には、1.0倍以下で割安、1.0〜1.5倍が適正、1.5倍以上で割高と判断されます。
- 株価とPBRの関係式
- 株価(円)= BPS(円) × PBR(倍)
すでに???でしょう😅
まず、BPS(1株あたり純資産)とは何か。
BPS(Book-value Per Share)は以下の式で表します。
BPS(円) = 純資産 ÷ 発行済み株式数
1株あたりの純資産額からは会社の安全性を評価できます。一般的にその数値が高い方が財務上安全であると判断されます。資本金や利益剰余金など含む資産から、負債を差し引いた残りの金額が純資産です。純資産を発行済み株式総数で割ったBPSは「会社が1株に割り振ることができる純粋な財産」を示します。BPS(1株当たり純資産)は仮に会社が解散・清算した場合、株主のもとに残る価値であり「1株あたりの解散価値」とも呼ばれています。
例えば、株価が1000円、BPSが500円の会社に投資することを考えます。投資資金は1000円ですがこの会社が解散したら戻ってくる純資産は500円なのでマイナスです。
この時のPBRは2.0倍です。最初の式に当てはめれば
株価(1000円)= BPS(500円) × PBR(2.0倍)
投資した金額より1株あたりの価値が低いので「割高」です。
イメージをまとめると
✅1000円投資して1000円返ってくる(損得なしで妥当)
→ PBR1.0倍(適正)
✅1000円投資して500円返ってくる(損している)
→ PBR2.0倍(割高)
✅1000円投資して1250円返ってくる(お得)
→ PBR0.8倍(割安)
わかりにくい指標ではありますがイメージをつかめればOKです。
PER・PBRの割安さ基準
- 日本株におけるPER・PBRの割安さの目安
- ・PERは15倍(日本株全体の平均)以下で割安
・PBRは1.0倍以下で割安
まずはこのベースを覚えておきます。絶対値ではなく目安です。
規模別・業種別PER・PBR(日本取引所グループ)こちらも参考にしてください。単純な数値の大小に加え、その企業における過去の平均値や同業種間の平均値との比較をして割安さを判断します。
PER・PBRの調べ方(IRBANK)
実際に投資する銘柄を分析するにはPER・PBRを調べる必要があります。分析によく使用される無料のWEBサイト(IRBANK)で調べることができます。優良高配当株としてよく名前が上がる(7820)ニホンフラッシュを例にしていきます。
まずはIRBANKでニホンフラッシュを検索。個別ページへ進みます。
メインページを下にスクロールしていくと現在の株式指標を確認できます。ここにPER・PBRの詳細ページへのリンクがあります。(記事投稿2023年12月22日のデータを参照)
まずはPERのリンクへ
ここで過去10年のPER平均を見ることができます。10年分を足して10で割れば約9.2倍となります。
これだと今のPER10.86倍は過去平均より高いから割高では?
確かに😱
この場合の比較の仕方は、
✅ 過去平均と比べて明らかに高くはないから「割高ではない」
✅ 全体平均の15倍より明らかに低いから「比較的割安」
厳密な数値基準ではないので「少なくとも割高ではない」ことを確認します。
続いてPBRの詳細ページへ
過去10年の平均値は1.18倍程度。PBRについては過去との比較よりも、今現在1.0倍以下であるかを重要視します。例えば過去10年平均が2.0倍の企業の場合だと、今が1.8倍なら割安でしょうか?1.0倍には程遠いので割高です。
この場合の比較の仕方は、
✅ 過去平均はどのくらいか(ずっと低い=割安に放置されている)
✅ 今のPBRが1.0近辺なら少なくとも「割高ではない」
過去との比較よりは今どうなのかが重要です。ただし、常にPBRが低いままという企業は要注意です。割安というよりも利益を上げられていない(純資産が少ない)問題ありの企業と考えられます。まずは企業業績をしっかり分析しましょう。
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目安となる平均のPER・PBRは業種によってムラがあります。全体の総合的な平均を15倍程度としていますが、細かく分析する際は業種別の平均も確認しましょう。
規模別・業種別PER・PBR(日本取引所グループ)
配当利回りと総合的に判断
PER・PBRについて解説しましたが、総合的な投資判断の一部にすぎません。高配当株の買い時の判断は配当利回りを中心に、PER・PBRを補完的に用いるのが有効です。
目標とする配当利回り・株価に到達している銘柄が、PER・PBRの観点でも「割高でなない」ことを確認できれば投資判断の後押しになります。いずれにせよ絶対的な基準が存在しないのが高配当株投資の難しいところで、経験を積んで感覚を掴む必要があります。
大前提として優良高配当株を選定できていることが重要です。その上で割安なタイミングで購入する経験を積んでいきましょう。初心者でも高配当株投資ができるようにさまざまなノウハウを投稿していますので、以下の記事も参考にしてください。
✅ IRBANKを使って銘柄分析する方法はこちら↓
【高配当株投資】IR BANKで銘柄分析する方法!初心者向けに指標を解説!
割安なタイミングを掴むには1株からでも少額で経験を積むのがおすすめです。時間をかけてコツコツ勉強すれば大怪我することなく配当金を積み上げていけます。
✅ 少額で高配当株投資を始める方法はこちら↓
【高配当株投資】超簡単!SBI証券アプリで一株から高配当株を買う方法!画像付き解説
【高配当株投資】超簡単!楽天証券アプリで一株から高配当株を買う方法!画像付き解説