優良高配当株の選定基準として重要な「キャッシュフロー」ですが、いくつも種類があり分かりにくいですね。この記事では、高配当株投資初心者でもキャッシュフローを理解して高配当株選定のレベルアップができるよう噛み砕いて解説します!
高配当株投資におけるキャッシュフローの重要性
4つのキャッシュフローから優良株を見極める
キャッシュフローは大きく4種(営業CF・投資CF・財務CF・フリーCF)に分類できます。どれも重要ですがそれぞれの意味を理解しておく必要があります。企業の財務状況を読み解くことで高配当株投資に有利な企業選定につながります。
・4種のCF 大まかな意味合いと目安
【営業CF】収入ー支出で残ったお金
→プラスならOK
【投資CF】設備投資や資産売却したお金
→マイナスでOK
【財務CF】借金や借金返済したお金
→マイナスでOK
【フリーCF】最終的に自由に使えるお金
→プラスならOK
・営業キャッシュフロー
営業CFは最もわかりやすく収入ー支出の差額です。プラスなら黒字、マイナスなら赤字。投資対象として黒字経営は大前提です。しっかり貯蓄しながら事業投資や配当金の支払いができる能力は必須で、長期的に黒字であることが理想です。
私たちの生活に置き換えると、手取り年収が400万円で年間支出300万円なら営業キャッシュフローは100万円の黒字となります。家計管理がしっかりできて初めて投資や起業ができるという意味では家庭も会社も同じで、営業CFの改善は大事です。
・投資キャッシュフロー
投資CFは事業投資・設備投資・株式投資など、未来の収益につながる先行投資に使用したお金の出入りです。成長のために積極的に事業投資している企業は投資CFがマイナスになり、好意的に評価します。逆にプラスの場合は事業投資を控えて資産を売却しているような状況で、経営不振や運転資金不足の懸念があります。
私たちの生活に置き換えると、収支がプラスの分で株式投資をしたということです。投資した分のキャッシュ(現金)は減るので投資CFはマイナスです。でも未来の配当金や株価上昇のための先行投資であり好ましい状況といえます。
・財務キャッシュフロー
財務CFは、借金をしたのか返済したのか、ということ。借金をした場合、手元の現金は増えるので財務CFとしてはプラス。借金返済の場合は、手元の現金を使っているのでマイナスです。一般的には借金は早く返済したほうが良いので財務CFがマイナスであれば経営状況は健全といえます。一方で、大規模な設備投資や不動産投資などには借金が必要で、経営上は必ずしもどちらが良いというものではありません。
私たちの生活に置き換えると、住宅ローンの返済などが該当します。高額な家を買うには借金が必要なので、購入時の財務CFは大きくプラス(一時的であれば悲観することでもない)。その後、着実にローンを返済していれば家計の財務CFはマイナス(順調に借金を返済中)ということになります。
・フリーキャッシュフロー
フリーCFは企業が自由に使えるお金で、営業CFと投資CFの合計になります。稼いだお金から投資資金を引いた手残りのお金です。1000万円の利益(営業CFプラス1000万円)から500万円の事業投資(投資CFマイナス500万円)をした残りが500万円のフリーCFです。ここから更なる事業投資をしたり、借金返済に回したり、配当金を出したりと自由な企業運営に使用できます。
高配当株投資の対象としては、配当金の元手となるフリーCFは常にプラスが理想です。ただし、大規模な事業投資をした年は一時的にマイナスになることもあり、企業活動をしっかり分析する必要があります。
私たちの生活に置き換えると、完全な余剰金に該当します。収入から支出を引いた資金(営業CFプラス)から積立投資した(投資CFマイナス)後の残金がフリーCF。これを貯蓄・ローン返済・高配当株投資・浪費など自由に使うことができます。
IRBANKを眺めてみます。10年以上連続増配で優良高配当株としても有名なライト工業のデータです。
左から、営業CF・投資CF・財務CF・フリーCFがプラス・マイナス・マイナス・プラスで推移しています。特にここ数年は潤沢なフリーキャッシュフローを稼ぎ出しており、安定的で力強い増配(増配率は年10%以上)を続けています。
このように、安定したキャッシュフローを持つ優良企業を見つけていくと高配当株ポートフォリオは安定していきますね!